【混合歯列期】
「永久歯が生えはじめる時期」が
カギになりますI期治療 Mixed dentition
6~11歳ごろは、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」にあたります。この時期は、あごの骨が柔らかく成長力も高いため、矯正治療において重要なタイミングです。
特に、5~7歳の間に生えてくる「6歳臼歯(第一大臼歯)」は、今後のかみ合わせや歯並びの土台を決めるうえで、非常に大切な歯です。この6歳臼歯が正しい位置に導かれるかどうかで、その後の歯並びの状態が大きく左右されます。
この段階で適切な矯正(=I期治療)を行うことで、骨格の成長を正しく導き、永久歯がきれいに並ぶスペースをあらかじめ確保することが可能になります。
歯並びが悪くなる原因を根本から見直し、将来の本格矯正を軽減するための「土台づくり」といえる治療です。 「将来の抜歯を避けたい」「なるべく負担を少なく治療したい」そんな思いをお持ちの方にこそ、早い段階でのご相談をおすすめしています。
顎の成長を促すための
矯正装置
プレオルソ
柔軟性のあるポリウレタン樹脂で作られたマウスピース型の矯正装置です。この装置を使って口腔筋機能療法(MFT)を行うことで、鼻呼吸をしやすくしたり、舌の正しい位置へ誘導したりと、お口まわりの筋肉バランスを整える効果が期待できます。歯並びや噛み合わせの改善を効率的にサポートします。
また、取り外しができるため、食事や歯磨きの際に邪魔にならないといった特徴があります。なお、プレオルソやMFTで一定の改善が見られても、永久歯が生え揃っ た後に不正咬合が残る場合には、本格的な矯正治療に移行する必要があるケースもあります。
インビザライン・ファースト
インビザライン・ファーストは、マウスピース型の矯正装置で、適用の判断は年齢ではなく「歯の発育段階」を基準に行われます。お子さまご自身で着脱できるため、矯正中でも歯磨きがしやすく、食事の際に不快感が少ないのが特長です。
また、透明な素材で作られているため目立ちにくく、見た目を気にせず治療を進めることができます。成長期の自然な発育を生かしながら、不正咬合の改善をサポートできる治療方法です。
- MAXILLOFACIAL
顎顔面矯正について
より広い視点からあごや顔全体の成長にアプローチする方法として、「顎顔面矯正」があります。これは、単に歯の位置を整えるのではなく、顔面全体の骨格の成長を健やかに導く治療です。
たとえば、上あごの幅が狭いことで口呼吸が習慣化している場合、上あごを拡げることで鼻腔が広がり、呼吸がしやすくなる可能性があります。顎顔面矯正は、機能面と見た目の両方に働きかけるアプローチとして注目されています。
12歳以降からの矯正では、
治療の選択肢が限られることも
10歳を過ぎる頃には、あごの成長スピードが落ち着いてきます。このタイミングで矯正治療を始めると、すでに歯列が完成に近づいているため、骨格的な改善が難しくなり、歯を並べるスペースが足りずに抜歯を検討せざるを得ないケースも出てきます。
また、選べる治療方法が限られたり、治療期間が延びたり、費用面での負担が増えるといったことも少なくありません。
「もっと早く相談しておけばよかった…」という声も実際に多く、成長期にしかできない治療があるからこそ、早めの判断が将来の選択肢を広げます。
なお、6~11歳の段階で治療(I期治療)を開始した場合、必要に応じて第二段階の治療に移行することもありますが、費用は初期の支払いとの差額でご案内しています。
12歳以降に治療を始めた場合に起こりやすいこと RISKS
- 永久歯の抜歯が必要になることがある
あごの成長がほぼ完了しているため、歯を並べるスペースが不足し、
やむを得ず健康な歯を抜いて治療を行うケースもあります。 - 目立つ装置の使用が避けられない
ワイヤーやブラケットを用いた装置が中心となり、見た目が気になって
積極的に治療へ踏み出しにくくなることがあります。 - 治療期間・費用の増加
歯の移動に時間がかかるため、治療期間が2倍以上に延びることもあり、通院回数や費用の負担も大きくなります。
早期治療と12歳以降の
治療の違い(比較表)
| 比較項目 | 3〜6歳で開始 | 6〜11歳で開始 | 12歳以降で開始 |
|---|---|---|---|
| 目立ちにくさ | ◎ 取り外し式 ・目立ちにくい | ◎ 取り外し式 ・目立ちにくい | ◎ 取り外し式 ・目立ちにくい |
| 使用する装置 | プレオルソ | プレオルソ インビザライン ・ファースト | インビザライン ・ファースト |
| 痛み | ◎ 少ない | ◎ 少ない | △ 感じやすい |
| 永久歯の抜歯 | ◎ ほとんど不要 | ◎ ほとんど不要 | △ 約40〜60%で 必要になることも |
| 矯正治療費 | 約20〜50万円 | 約20〜50万円 | 約75〜100万円 |
| 治療期間 | 約1〜2年 | 約1〜2年 | 約2〜4年 |
10歳前後までに矯正を始めることで、骨格の成長を活かしながら、見た目や機能のバランスが取れた歯並びを目指せます。この時期の治療は、お口の健康だけでなく、発音・食事・心理面にも良い影響をもたらします。歯並びに不安がある場合は、早めのチェックをおすすめします。